Wi-Fiって言葉使いたいだけなんじゃないの?2020年に小中高校に無線LAN配備!

Wi-Fiって言葉使いたいだけなんじゃないの?2020年に小中高校に無線LAN配備!

こんにちは、最近ITと教育に関連するニュースが非常に多いですね。学生時代に研究室の無線LANの電波を使ってノートパソコンで遊んでいたり、モンスターハンターで遊んでいた、らいか(id:sakanatech)です。

またまた、総務省から2020年をターゲットにしたIT分野の成長戦略の1つとして無線LANの導入が発表されました。

これまた、小学生に対してプログラミングを教える事に匹敵するくらいに難問だと思うのですが、総務省や検討チームはどのように考えた結果、この答えを出したのかが非常に気になります。

この発表の目的や実際にどうなるかについて書いていきます。

 

この記事に関連してこんな記事も書いています。
2020年から小学校でプログラミング必修化だけど全員整列教育では何も変わらないよ – SakanaTech
2020年から小学生にプログラミングじゃなくネットリテラシーを教えるべきじゃない? – SakanaTech

 

総務省からの発表

総務省は2020年までに全国すべての小・中・高校に無線LAN「Wi―Fi」を導入する方針だ。教科書の内容をタブレット端末などに収めた「デジタル教科書(総合・経済面きょうのことば)」の普及に向け、導入費用の半分を補助する。災害時には避難者に開放し、携帯電話の基地局が故障してもインターネットや電子メールを使えるようにする。
全小中高に無線LAN 20年までに 電子教科書に対応 国が費用5割補助 :日本経済新聞

用途としては大きく2つあるようです。

  1. 授業に利用するため
  2. 災害時に避難者に開放するため

良識のある使い方としては、まあ納得できるレベルの使い方かなと思います。
小学校・中学校で果たして必要になるのかは疑問ですが、高校レベルの授業では分からない言葉や特に深く知りたい物事についてネットを使ってリアルタイムに疑問解消を行うことは本当に有意義な使い方だと思います。

 

「授業が終わってから調べる」というのはどうしても、忘れがちになったり本当に必要な時に必要な情報を検索することを許可されるというのは、ちゃんと勉強したいと思う学生にとっては大きなメリットです。

 

発生しそうな問題を予想

IT分野に明るくない人であればあるほど、何でもハイテクだのタブレット端末だの無線化だの言いますが理解しているかは大きな疑問符が付きます。

きっとこんな問題が起こるだろうなというのを予想していきます。

 

スマホを持っている子と持っていない子に格差が生じる

リアルタイムに情報を調べることが出来る非常に便利なツールなのですが、授業中の利用について明確に制限しなければスマホを持っている家庭の子と持っていない家庭の子とで、授業中に得ることが出来る情報量に格差が生じます。

たとえば、英語の授業で和訳を行う際に分からない単語をスマホで調べることができる子とスマホで調べることができずアナログの辞書で調べるのとでは、調べる作業の生産性に圧倒的な違いがあります。この差は微量な差ではありますが年間を通して積み重ねると、結構な時間量になり明確な格差となります。

きっと、学校ではこの格差を発生させないために授業中のスマートフォンの利用を完全に禁止するでしょう。
そうした場合、タブレット端末を配布していない学校であれば、「一体何のために全学校に無線LANを導入したのかが分からなく」なります。タブレット端末に関しても全ての学校に行き届かせるには莫大な予算が必要となり、また日本のガラパゴスタブレットを配布した場合、動かなかったり教員自体が使い方が分からないため結局誰も使わなくなったりしてしまう未来しか見えません。

 

そうならないためにも、ルール作りと施策導入の順序が重要だと思います。

 

たとえば、タブレット端末が行き届いた学校のみ、無線LANの導入を行う様にする。
その無線LANには予め、Wi-Fiに接続した状態で端末を提供することで個人端末を勝手にWi-Fi接続出来ないようにする。こうすることでスマホの有無による格差もなくなり、全員が平等に授業を受ける事ができるようになります。

 

なぞの使えないタブレットが導入される

日本国内における、タブレット端末の授業利用で「いい話」や「成功した話」はほとんど聞きません。
その理由が、本当に使えるタブレットではなく、国と大企業の利権にまみれた影響から「なぞのガラパゴスタブレットを与えられてしまう」ことが原因の一つにあります。

当然、教員がタブレットによる授業を活用しきれていないことも原因の一つではありますが、急に動かなくなったりフリーズしたりすることが頻発し、結局授業では使わなくなった例が少なくありません。

導入するタブレット端末の品質や指導する教員側の知識改善を抜本的に行わなければ、タブレットを利用することの必要性やメリットが全くない授業に成り下がってしまう未来しか見えません。

 

災害時では結局使われない

災害時では結局まともに利用されることはありません。
その理由としてはいくつかの要素があります。

  1. 何百人もの同時接続を確保できないためIPアドレスが不足する
  2. 帯域不足に陥り利便性に乏しい
  3. 小学生向けのフィルタリングによりまともにサイトの閲覧が行えない

この日経の記事では、回線の帯域確保のために助成金を出すと記載されていますが、市町村自体の運営自体が苦しい土地で小中学校の災害時のための回線増強に多額の費用を支払う自治体が多く現れるでしょうか?きっと多くは現れません。

優先度を考慮した結果、「あったら少し便利になる」程度の施策では予算確保ができず、回線増強を行うのは一部の私立学校や東京都や大阪府など規模の大きい都市部の学校のみとなるでしょう。

そのため、何百人が同時にインターネットの情報を閲覧する状況が発生した場合、帯域不足のため非常にストレスを感じる利用に限定されます。

 

また、小学校での体育館などで公開された無線LANを利用すると想定していますが、激甚災害時以外は普通に小学生向けに開放されていた無線LANであるため当然、サイトフィルタリングがかけられています。
また、サイトフィルタリングの中でも最も制限の厳しいものが適用されていることが安易に予想できるため、不必要なサイトはもちろんのこと、最悪の場合、Twitterや各種SNS、AmazonなどEC系サイトについてもフィルタリングの対象となり、閲覧が行えません。

そうした場合、当初計画していた利用方法は行えなくなり

その結果、災害時に無線LANが利用できたとしても、「利用者が考える利用方法と乖離した利用方法でしか利用できない環境」にしかならないため誰も利用しなくなります。

 

ゲーム天国になる

コレが一番羨ましい問題であると考えます。

とはいえ、こんな安易に対応策が打てるものについてはきっと対応されると思うので、そこまで大きな懸念はしていませんが、
設定を行う学校側のITに関する知識が非常に低い場合は、サイトフィルタリングの設定などを行わずに運用を開始してしまった場合に、学校はゲーム天国となり小中高生にとっては最高の空間になるでしょう。

Wi-Fi環境下で通信費を気にせずTwitterやニコニコ動画やYouTubeの閲覧が出来る。またスマホゲーも楽しむことができ、
それこそ、何のための成長戦略なのか分からなくなります。

 

まとめ

3行でまとめると、

  • 無線LAN化は大いに結構、ただしルールを明確に
  • 生徒全員が繋いだらどれほどの通信料になるのか見積もりはしっかりと行う必要がある
  • タブレットの失敗を教訓に無線LANをどう活用するのが適しているのかをしっかりと検討する必要がある

このくらいといったところでしょうか。

また、
この記事でも書いていますが、IT戦略として今政府が採用するべきは「2020年からの小学生に対して」ではなく「いまこの時にITエンジニアとして活躍している人材に対する配慮」であることを考えてから、行動して欲しかったです。

【参考リンク】

2020年から小学校でプログラミング必修化だけど全員整列教育では何も変わらないよ

やはり、何も考えないまま

  • ITの時代だ
  • ハイテクの時代だ
  • スマホだ!タブレットだ!
  • 無線化だ!

なんて古の考え方しか持っていない方が考えた結果がまさにこの成長戦略に繋がっているのですが、
わたしたちエンジニアが、知識を持たない人に対して説明・説得し、納得させることが出来なかった結果であるということは忘れてはいけませんよね。

 

この決定をした人たちの周りに、現状の現実を見えているIT分野に明るい人が居なかった事が残念でなりません。

 

らいか
IT施策は思っている以上に工数がかかるので、そういう事を考えて、理解した上での決定事項としてほしいですね。いたずらに工数だけかけてもいいものは出来ないですし。
Wi-Fiって言葉使いたいだけなんじゃないの?2020年に小中高校に無線LAN配備!

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ABOUTこの記事をかいた人

工業高等専門学校を卒業後、NTTグループのSI企業に就職。数々の炎上案件を鎮火するために日本各地を5年間転々とする。2015年に一般ユーザ向けのWebシステム開発案件のチームリーダとして業務に従事し、改めて"Webのものづくりの楽しさ"に気付きWeb制作会社に転職。Web制作やアクセス解析を使ったオウンドメディアの運用改善などを行っていく中で、もっとユーザー目線でWebをただ制作するだけではなく企画や運用まで幅広い領域で仕事がしたいと感じるようになり、Webディレクターのキャリアを目指す。日本中のビジネスホテルに詳しく、犬や猫よりも鳥派。