Web業界はなぜ見込み残業が多くて残業代が出ないのか?

Web業界はなぜ見込み残業が多くて残業代が出ないのか?

残業代って1分単位に支払わないといけないのが法律で定められているって知ってました?
(わたしは最近知ったんですけど…。)
Web業界にお勤めの方で「残業代はちゃんと出てるよ!」という方は何割くらい居るのでしょうか?

少なくとも、わたしの回りでWeb業界に務めている方でちゃんと残業代が支払われている方は非常に少ない印象です。

こんにちは、来月からベンチャー企業で働くので残業代とは無縁になるらいか です。

たまにはこういう短い記事を書いても良いんじゃないかな?と思い、ふと気付いた事について書いていきます。

そもそも1分単位に支払わないといけないの?

これ意外なことなんですが、残業代って

  • 30分ごと
  • 60分ごと
  • そもそも見込み残業なので出ません

っていう風になっていませんか?これって実は法律的に見るとルールを守れていないことなんですよね。
(労働契約書にサインしている時点で会社のルールに従っているのでOKとなりますが・・・)

労働基準法第24条及び同第37条には次のように定められていました。

賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。

労働基準法第24条(抜粋)

使用者が、労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

労働基準法第37条(抜粋)

労働者
法律守ってないじゃん!違法じゃん!

と思いたいところですが、当然数多くの企業が法律違反を大手を振ってやっているわけではなく例外があるんですよね。

ただ、この記事ではその例外について話すのではなくWeb業界ではそもそも残業時間を考慮して仕事を組めていないことが原因なんじゃないの?という切り口から書いていきます。

見積りが悪いよね

以前に、良い見積りと悪い見積りについて書きましたが、その話とは少しだけ観点が違います。

はなしは、わたしの現職での経験になるのですが、
案件があまりにも輻輳していて、弊社内では対応し切れない量のWeb制作案件が舞い込んできたため、複数のWeb制作会社に対して見積りを出しました。

どこの制作会社の見積りも、見積り項目や金額などバラつきがあったのですが唯一、全ての制作会社で共通しているものがありました。それが「工数の単位」です。

工数の単位って、わたしの様なSIer出身者は当然「時間(h)」です。
”人時”っていう言葉を使うことが多いですね。この作業を1人で行った場合N時間かかる。というのを表現します。

Web制作会社から提示された見積書の工数の単位は全て「人日」でした。

「そんなの普通じゃん?」って思われてる方。業界に毒されていますよ。

この1人日という言葉には結構な罠が含まれています。

とある作業の作業時間を計算するときって

見積り担当者
この作業は5時間くらいかかるな。こっちの作業は3時間くらいかかるな…

この様に、小さな作業時間を1つ1つ積み上げて見積りを行う事が多いですよね?
(超概算など「とりあえず1日」という風に計上している精度の低い見積りをしている場合を除く)

その時に見積りの単位で人日を使うと

1日って8時間?それとも10時間?どっちなんだろう?と思いませんか?務めている会社での定時内勤務時間は何時間ですか?

ここに大きなミゾがあるから、Web業界から残業代という概念が無いんじゃないかと思います。

当然、良いこともあります。
Web制作のように、創作要素の強い仕事ではクオリティを追求するために必要最低限の作業をするよりも大きな時間を要することが多々あります。
作るだけならそんなに時間はかからなくても、クライアントが納得して、かつ制作者本人も納得できるクオリティに達していないと表に出したくありませんよね?

そういう時に、あえて人時ではなく1人日で見積りを行っておくと意識するのは納期だけとなり、その納期までの期間であればクオリティ向上のために何時間でも時間をかけることが出来ます。

1日は8時間なのか10時間なのか

話は少し戻ります。

1日は8時間なのか10時間なのか、それとも時間数は考慮せずあくまで1日として考えるのか。
この大前提は凄く重要な観点です。

8時間で見積りを行うものと10時間で見積りを行うものでは、たった4日間で1日分の稼働差が生まれます。

この1日分の稼働差って見積りに反映されていますか?

実際に作業時間を積み上げていけば10時間かかる作業。
これを定時8時間で実働10時間として見積りを行うことができていれば、2時間は残業時間だ。と明確に認識できますよね?それを行っていないのがWeb業界の見積もりでした。

1人日は何時間ですか?の問に答えられない

わたしに見積り回答を行ってくれたディレクターの皆さんは見積りの根拠説明やディスカウントを要求すると応じてはくれます。色々と社内で想定問答や事前準備を行って下さったんでしょう。

しかし、

らいか
1人日って何時間計算ですか?

この問いに明確な答えを持ち合わせている人はいませんでした。(非常に残念)

自信もって8時間です!だとか、7.5時間です!と答えられればいいものの、多かったのは「多分8時間です。」という自信なさげな回答。

多分って何だ。多分って。

1日8時間で見積もりを行う文化になって欲しい

Web業界の単位が人日なのは歴史的・文化的な問題なのかもしれませんが、1人日の内訳は10時間や12時間ではなく8時間(もしくは御社の拘束時間)とする文化になって欲しいと願います。

まずは、自分から。ということで、わたしは案件の見積もりを行う際には1人日を8時間として計上します。

当然メリットもある

メリットもある。ということを紹介したいです。

1日8時間で見積もりを行った際。2つのメリットがあります。

  1. 想定していた工数よりも時間がかかった際に見積もり精度の確認ができる
  2. 想定していた工数よりも時間がかかった際に担当者の生産性の確認ができる

今回の見積もりではダメだとしても、次回以降の見積もり精度が向上しますよね?
こうやって、試行錯誤を繰り返して精度の高い見積もりを提示することが、クライアントと制作会社双方にとって必ずメリットとなります。

見積もりの精度をとにかく細かくしろ!というのではなく、1日の作業時間を実際の勤務時間と照らし合わせることで、想定していた時間を超えたときに残業という概念がWeb業界にも生まれるのかもしれません。

らいか
見積り精度が低いと案件が炎上する原因になって、結局誰も幸せになれません。プロジェクト成功の鍵は見積りにかかっていると言っても過言ではないので、しっかり精度の高い見積りが行えるようになりたいですね。

ABOUTこの記事をかいた人

工業高等専門学校を卒業後、NTTグループのSI企業に就職。数々の炎上案件を鎮火するために日本各地を5年間転々とする。2015年に一般ユーザ向けのWebシステム開発案件のチームリーダとして業務に従事し、改めて"Webのものづくりの楽しさ"に気付きWeb制作会社に転職。Web制作やアクセス解析を使ったオウンドメディアの運用改善などを行っていく中で、もっとユーザー目線でWebをただ制作するだけではなく企画や運用まで幅広い領域で仕事がしたいと感じるようになり、Webディレクターのキャリアを目指す。日本中のビジネスホテルに詳しく、犬や猫よりも鳥派。